首なしライダーの話はご存じでしょう。
というより、あなたの周りには、あなたの首なしライダーの話があると思います。
だいたいは、暴走族を苦々しく思った住民がしかけたピアノ線に、暴走族がひっかかって首が飛ぶというパターンですが、大阪市の北の方にある大きな公園で伝わる話は、ひとひねりされてました。
暴走族を苦々しく思って、住民がピアノ線をしかけるまでは一緒なんですが、ひっかかったのが白バイだとのことなんです。
それ以来、その公園では、首なしの白バイが走るんだそうです。
まあ、大阪の「ポリ」ぎらいが生んだ話だと思われます。
でもね、夜中に首のない人が運転してるバイクが走ったのを見たからってどうなんでしょう?
それが、自分めがけて襲いかかってくれば、話は別だけど、そうでなければ、ただバイクが走ってるだけの話で、ぼくには全然怖いと思えません。
正直、見てみたいぐらいです。
ぼくがいやなのは、こういう話です。
京都から比叡山を通って琵琶湖へ抜ける道を山中越と言います。
こういう話の常として、その途中のどこかに精神病院があるんだそうです。
本当かどうかは知りません。ぼくは何回も、昼も夜もこの道を通ったけど、看板さえ見たことがありません。
精神病院といっても施設みたいなもので、村上春樹の小説『ノルウェイの森』に主人公のワタナベがそういう施設を訪ねて行く場面がありますが、そのモデルだと、ぼくにその話を教えてくれた人は、まことしやかに語ってくれました。
関西は、山の中を夜中にバイクで走ってはいけないところが多く、六甲山や箕面山がそうなんですが、比叡山も夜中にバイクが走りません。
ただ、比叡山で夜間バイク禁止の看板をぼくは見たことがないんですよ。
だから、この話を信じているライダー連中が自己規制してるんだって、彼は語っていました。真偽のほどはわかりません。
前置きが長くなりましたが、話はいたってシンプルです。
京都側の比叡山口から10数分上った場所で起きるんだそうです。
バイクで夕方、いわゆる逢魔ヶ時と呼ばれる時間帯に、そこを走ってると、いきなり後部座席に飛び乗ってくるんだそうです。
白い着物の若い女が。びっくりしたライダーは、曲がり切れずにガードレールに衝突するんだけど、せいぜい脚の骨を折るぐらいの怪我で済むんだそうです。ただ、飛び乗ったはずの女は、いつの間にか姿をくらましてるんだそうです。
噂では、その女は彼氏と二人乗りで比叡山にツーリングに来たんだけど、スピードを出しすぎた彼氏が、ちょうど同じ場所でガードレールにぶつかって首が挟まって、即死したんだそうです。
彼女は奇跡的に助かったんだけど、事故の発見者が通りかかったときには、首の取れた彼氏のそばで、彼女はすでに頭がおかしくなってたんだそうです。
そのまま、近所の精神病院にずっと彼女は入院しているんだそうです。
まあ、こんなのは都市伝説で、その場所を知ってるだけに、ちょっとぞっとする部分もあるんだけど、車の中での楽しいおしゃべりでした。
大学時代は、
この前の桂川の橋もそうだけど、そういう噂のあるところを夜中にドライブして、怖がりなやつにそういう話をするのが流行ってたんです。
比叡山で、そういう適当な話を楽しんだ後、琵琶湖沿いまで来ました。
夜中の2時ぐらいでした。
運転してたAが急ブレーキを踏むので、「なんや、どうしたん?」と聞くと、「こんな時間に女の子が、横断歩道を」と言うのです。
確かに、8歳前後の女の子が横断歩道を渡っていきます。夏休みとはいえ尋常じゃないと思いました。
女の子が渡ったので、Aは車を発進しました。ぼくは気になったので、振り返ってみました。
すると、案の定、
女の子はどこにもいませんでした。
隠れるところなどどこにもない国道沿いの見通しのいいところなんですけどね。